6/28-29 @ エビスサーキット西コース

2023年から自動車部に在籍する大学生向けに開催されてきた「Formula Gymkhana（hフォーミュラジムカーナ）」。2025年の大会は5月に鈴鹿ツインサーキットで開幕し、3回の予選会と決勝大会の計4大会が実施される。予選会へのエントリーは、学校の所在地によって別けられている。

大会の中でも屈指の激戦区となるのが東日本の大学が集まるエビスサーキットでのRd.2で、6月28日（土）－ 29（日）に開催される。チャンピオン経験校の中央大学や、昨年度出場校が多く名を連ねる中、シミュレーターを使った2次予選でトップとなったのは、２年ぶりの出場となる北海道大学。初参戦の明治大が僅差で追う結果となった。

鈴鹿ツインサーキットでは実施のなかった女子クラスが、今回のエビスサーキットでは行われ、本命はダブルエントリーとなっている東京電機大だ。アップダウンもあるエビスサーキット西コースに特設されるジムカーナコースで、白熱したバトルが期待される。

2次予選の振り返り

シミュレータを用いて行われたFormula Gymkhanaクラスの2次予選では、上位20校が予選通過となり予選会Rd.2への出場を決めた。2次予選をトップで通過した北海道大学は、合計タイム3:30.963を記録し、個人タイムでも同大学の澤選手が個人最速の1:08.835で圧倒的な実力を見せている。これに対し、初出場となる明治大学は、合計タイム3:32.469を記録。１位の北海道大学からは1.5秒差の2位を獲得し、初出場ながら注目されている。3位には昨年同エリアの予選会で5位となった東京電機大学が明治大学とほぼ同タイムで並んでいて、この3校による激戦が予想される。

昨シーズン、同エリア3位・4位の拓殖大学と法政大学は、共に予選通過ラインのギリギリとなる19位、20位で通過。強豪校としてどこまで巻き返せるかが注目だ。4位〜6位にはいずれも初出場の國學院大学、群馬大学、関東自動車大学校がランクイン。関東自動車大学校は、本大会より出場可能となった専門学校としてはトップタイムを記録しており、高い整備力を活かした作戦次第ではダークホースとなりうる一校だろう。

昨年度も出場していた工学院大学、東京大学は惜しくも二次予選敗退となり、連続出場を逃している。

女子クラスでは、東京電機大学の庄野涼香が1分12秒台前半でトップ。チームメイトの前川陽菜も4番手となり、盤石な体制である。青山学院大学の宮橋選手（+0.259秒）、東京理科大学の新田愛莉（+0.359秒）がいかに食らいついていけるかに期待したい。

2025予選Rd.2 エビスサーキット西コースRd．二次選考結果

エビス西サーキットに“特設”するジムカーナコース

エビス西コースは全長2.1 km弱の起伏があるサーキット。その中の１コーナーやホームストレート周辺にパイロンで特設コースを製作する。スラロームや180°ターンを配置し、比較的タイトなジムカーナレイアウトになる予定。高低差があるコーナーでは、荷重移動のコントロールも鍵となってくる。

Formula Gymkhanaの魅力

予選会Rd.2も下記の条件で開催され、学生にとっては経済的なハードルが非常に低い大会となっている。

車両：男子 GR86 AT ／ 女子 NOTE AURA nismo（タイヤ等も全て同スペック、当日抽選で割り当て）

参加費：チーム8,000円／女子1人2,000円。交通費補助、宿泊＆食事支給。

出場校数も最大となり、北海道から首都圏までの４年生総合大学と専門学校の学生が一同に会する。エビスサーキットラウンドは、自動車好きの大学生と自動車産業の交流の場としてもこれまで以上に大きな盛り上がりを見せることが期待されている。

初参戦校vs強豪校は、チーム力が勝敗をわける

予選会Rd.1を見ると今年のFormula Gymkhanaは“実績ある伝統校”が苦戦する傾向となっていて、”ニューフェイス”が台頭する混戦模様となっている。エビスサーキット西コースの高低差は、シミュレータータイムだけでは測れないリアルの度胸を要求するため、各学校がどのような作戦で挑んでくるか見どころだ。

北の新星か、首都圏の古豪か、予選会Rd.2 を制する者が富士スピードウェイで行われる決勝大会の主役に躍り出る。

東日本地区の20校が出場した予選会のRd.2はアタック2本目の最終盤まで手に汗握る展開に

大学自動車部を中心に、ワンメイク車両を用いてタイムを争う「FormulaGymkhana」は、今年で3年目のシーズンを迎えた。2025年は年3回の予選会と、予選会を勝ち抜いた学校だけが参加できる決勝大会の計4戦が開催される。予選会Rd.2は、6月28日（土）−29日（日）に福島県のエビスサーキット西コースで行われた。今年から新たな競技車両として、GR86（AT車）が導入されたこともあり、出場校が大幅に増加。シミュレーターを使った2次選考を突破した20校が出場し、11月に富士スピードウェイで開催される決勝大会への切符をかけて熱戦を繰り広げた。

FormulaGymkhanaは各校3名のドライバーの合計タイムにより競われる。6月28日（土）が練習日となっており、6月29日（日）には2回の走行が設けられ、ベストタイムの合計で勝者を決する。第1ヒートこそミスコースがあったものの、最後のアタックで大逆転した初出場の明治大学が優勝。2位には2年ぶりの出場となる駒澤大学が入り、3位には全国優勝した経験のある強豪の中央大学が入った。シミュレーターでの2次予選を3位で通過した東京電機大学が4位、5位には日本大学、6位に上智大学がつけ、以上の6大学が全国大会への出場権を手にしている。

初出場の明治大学が逆転優勝を飾る個人ベストは
全日本ジムカーナでも活躍する國學院大学の伊藤選手がライバルを圧倒

＜第2ヒート＞ 6.29 SUN 13:30-15:00 コンディション:晴/ドライ

お昼には、ブース出展しているスポンサー企業と学生達の懇親の場が設けられた。前述の通りで今回から、学生が出展ブースを巡るスタンプラリーが始まり、多くの学生が積極的に懇親を行っていた。13時30分から第2ヒートが始まると、次々にタイムが更新される激しい展開となる。

Aドライバーの走行がスタートすると、上智大学年の小林選手は約5秒のタイムアップを記録し、同大学は16位から決勝進出圏内の5位へ一気にジャンプアップ。中央大学4年の倉品選手も同じく約5秒のタイムアップを果たし、同大学を2位にまで押し上げた。一方、東京電機大学は、しばらく暫定1位の座を死守し続ける。國學院大学の伊藤選手が、個人タイムベストとなる1分05秒479を叩き出して会場を沸かせると、明治大学3年の木村選手はコース幅を最大限使った走りでタイムを7秒フラットに入れ、同大は中央大学をかわし2位に浮上。

Bドライバーの走行でも、激しい2位争いは続き、上智大学2年の髙橋選手が第1ヒートでの5秒のパイロンタッチペナルティを巻き返す丁寧な走りを見せ、再び同大学は2位となる。続いて中央大学3年の内田選手は、1分8秒台の好タイムで着実にタイム更新をし、上智大学を抜き返した。　最終走者のCドライバーがスタートすると、上位争いだけでなく全国決勝へ進出できるボーダーラインの6位争いも激化。芝浦工業大学4年の鈴木選手が、第1ヒートのパイロンタッチペナルティを巻き返して、同大学は6位圏内に入る。日本大学3年の松本選手がすぐに3秒のタイムアップを記録して、3位に浮上する。第1ヒートに、2回のパイロンタッチで10秒のペナルティを抱えていた駒澤大学3年の稲葉選手は、ノーミスで見事に約10秒のタイムアップを果たし、同大学は一気にトップへ躍り出た。國學院大学2年の川口選手は6秒のタイムアップをするも、残念ながらパイロンタッチの判定を受け、全国決勝の出場圏外に転落。終盤には、明治大学4年の鶴谷選手が出走する。第1ヒートはミスコースによるノータイムだったため、この時点で明治大学は合計タイムが記録されていなかった。第2ヒートでいきなり1分7秒台の好タイムを記録し、他2名も好タイムを記録していた明治大学が一気に1位を奪取し、そのまま優勝となった。

様々な実績を残している学校や選手の活躍が多く見られた今大会。出場選手のレベルは年々上がり、「FormulaGymkhana」はより一層盛り上がりを見せている。次回は9月27日（土）−9月28日（日）に滋賀県の奥伊吹モーターパークで開催され、11月に富士スピードウェイで開催される全国決勝の出場者がすべて出揃うことになる。引き続き、注目していただきたい。

■ Formula Gymkhana クラス

Pos	No	Driver	College	Name	BestTime	Heat1	B	P	Heat2	B	P	TotalTime
1	19	A	明治 大学	木村 一生輝	1'07.001	1'07.001	-0.3	10	1'07.301	-0.3	0	3'22.760
		B		長島 令旺	1'08.167	1'08.167	-0.3	0	1'08.854	-0.3	0
		C		鶴谷 嶺二	1'07.592	DNF	0	0	1'07.892	-0.3	0
2	11	A	駒澤 大学	渋谷 音羽	1'07.857	1'09.481	-0.3	0	1'08.157	-0.3	0	3'25.536
		B		松田 信太郎	1'08.371	1'08.960	-0.3	0	1'08.671	-0.3	0
		C		稲葉 優太	1'09.308	1'09.920	-0.3	10	1'09.608	-0.3	0
3	14	A	中央 大学	倉品 翼	1'10.278	1'15.497	-0.3	0	1'10.578	-0.3	0	3'26.579
		B		内田 直樹	1'08.726	1'10.745	-0.3	0	1'09.026	-0.3	0
		C		野村 飛美樹	1'07.575	1'10.623	-0.3	0	1'07.875	-0.3	0

4位:東京電機大学(3'27.048) 5位:日本大学(3'29.493)6位:上智大学(3'29.803) 以上が全国大会進出
7位:國學院大学(3'30.132)、8位:東京理科大学(3'31.194)、9位:群馬大学(3'31.542)、10位:関東工業自動車大学 校(3'31.621)、11位:芝浦工業大学(3'32.325)、12位: 東北大学(3'32.376)、13位:東京都立大学(3'33.877)、14位: 拓殖大学(3'34.102)、15位:北海道大学(3'35.763)、16位:日本大学生産工学部(3'37.077)、17位:法政大学(3'37.341)、18位:青山学院大学(3'38.572)、19位:早 稲田大学(3'39.106)、20位:トヨタ東京自動車大学校(3'39.977)は、予選会敗退

優勝校　明治大学　3分22秒760

「初出場で戸惑うことも多かったです。しかし、メカニックをはじめチームメンバー全員がサポートしてくれたので、競技に集中することができました。FRに乗りなれていないメンバーもいるので、少しアンダーステアなセッティングにして、極力リアを出さないように心がけたことが、勝利のポイントだと思います」

個人ベストタイム　1分5秒479　伊藤眞央（國學院大学）

「全日本ジムカーナでお会いした方もいらっしゃるので、プレッシャーもありました。それでも、その状況下でなんとか良い成績を出すことができてホッとしています。普段の競技にはFF車両で参戦しているので、リアタイヤを滑らさないアクセルワークに苦労しましたが、きちんと止めて曲げることを意識しました」

今年初開催の女子クラスは「タイム差」で競う新ルール上智大学の遠藤選手が驚異的な再現性で優勝に輝く

2025年で3シーズン目を迎える「FormulaGymkhana」は、昨年から女子クラスを新設。6月28日（土）・29日（日）に福島県のエビスサーキット西コースで開催された予選会Rd.2では、今季初となる女子クラスが組み込まれ、シミュレータでの2次予選を勝ち抜いた9名の女子学生ドライバーが、11月の全国決勝への切符をかけて熱戦を繰り広げた。昨年は「ターゲットタイム」を目指す方式で競われていたが、今季は2回走行したタイムの差が最も小さい選手が勝者となる「タイム差方式」という新ルールが採用された。いかに自身の走りを正確に再現できるか、ドライバーの精密なドライビング技術と、攻めるか守るかの高度な戦略性が問われることとなる。

波乱の展開！緻密な再現性が絶対的なスピードを上回る

競技車両は日産AURANismoを継続して使用するが、車両のマイナーチェンジに合わせて4WDモデルに変更された。今年から始まる新ルールへのアプローチは大きく二つに分かれた。リスクを承知でハイスピードな走りを2本揃えにいく「攻めの戦略」と、ペナルティを避け、堅実なペースでタイムを正確に再現することに集中する「守りの戦略」だ。

この独特なルールが、シミュレータ予選とは全く異なる結果を生み出す。予選トップで本命と見られていた東京電機大学の庄野涼香選手（結果9位）や、2位を確認した青山学院大学の高橋聖奈選手（結果8位）ら予選上位陣が苦戦。同じく予選上位だった東京電機大学の前川陽菜選手はミスコースに終わるなど、波乱の展開となった。

そんな中、見事な適応力を見せたのが予選を7位で通過した上智大学2年の遠藤汐莉選手。対照的な戦略を取るライバルを横目に、冷静に自身の走りに集中。第1ヒートの走行で1分24秒512を記録すると、第2ヒートでは最終ストレートでアクセルオフをする見事な「調整」を見せ、1分23秒989をマーク。タイム差をわずか0.523秒にまとめ上げ、優勝を勝ち取った。

2位に入ったのは、予選6位からジャンプアップした東京理科大学4年の橋西慶果選手。優勝した遠藤選手を10秒近く上回る1分14秒〜1分16秒台のハイレベルなタイムで攻めたが、タイム差は1.324秒と、わずかに及ばなかった。3位には「ワイルド・スピードが好き」という東京大学4年の進藤萌音選手がランクイン。その言葉とは裏腹に、走りは「丁寧にコントロール」されており、1.379秒という僅差で表彰台を獲得した。

■ Formula Gymkhana 女子クラス

以上、3名までが全国大会進出4位:新田 愛莉(東京理科大学、Gap 1.488) 5位:高橋 聖奈(青山学院大学、Gap 1.833) 6位:武内 結(中央大学、Gap 2.115)7位:庄野 涼香(東京電機大学、Gap 9.504) 記録なし:市川 桃衣(上智大学) 記録なし:前川 陽菜(東京電機大学)

女子クラス優勝　遠藤汐莉選手（上智大学）

「コースが間違えやすいレイアウトになっていて難しく、土曜日の練習走行では3本しか走行できず不安でした。日曜日はとにかくミスコースをしないように気を付けました。緊張感ある中でも、多くの企業の方と会話することができ、とても楽しかったです。企業の方のアドバイスを参考に、車両の姿勢をきれいに作ることを意識しました。頭の中で音楽を流してタイムの感覚をつかみ、最後は調整することができました」